みるく動物病院
   血液検査では何を調べてるのでしょうか?  戻る
   血液検査では、下記表の検査項目にあるような成分の量を測ったり、赤血球、白血球、血小板数を測定します。
その他、表にはかかれてませんが、ウィルス抗原・抗体、各種ホルモン量検査を行うこともあります。
 それに先立ち、前足、後足、または頚から採血を行います。(身体が弱ってる場合は採血に時間がかかったり
十分な量採血できない場合もあります。)
 採血した血液は血漿を分離し検査機にかけ必要な項目を検査します。症状によってはたくさん検査しないと
いけないこともあります。
どういうことが分かりますか?
 表の<検査項目>の欄が検査される成分の名前です。その量を測ることにより<考えられる主な疾患>の欄に見られるようなことが考えられます。
例えばBUNを例にとってみると 尿素窒素、おしっこの1つの成分であるBUNが血液中に増えるということは、
普段は腎臓で濾過されておしっこに出て行くわけですが、その作業がうまくできていない可能性があるということを
示しています。つまり、腎不全である可能性があります。しかし、表からも分かるように、BUN上昇が腎不全に直結してるわけではなく、
腎臓の働きに密接な関係である心臓からの異常ということも考えられますし、または、その両方かもしれません。その他、脱水でも
上昇するわけですから、そうなるといろんな病気が考えられることになります。
 つまり、疾患を判断する場合1つの検査結果だけから判断しているわけではありませんので(症状、経過、その他の検査結果などから)、
1つの検査結果が異常であってもすぐに何か1つの病気に直結してるわけではありません。反対に数値に異常が無くても臓器に異常があることもあります。
 血球計算においては、赤血球の量で貧血の有無や、白血球の量で炎症の有無、血小板数では出血時の血液の固まりやすさ等を
調べています。
 
 
     
   
検査項目 参考基準範囲 単位 考えられる主な疾患
イヌ ネコ 増加 減少
GLU
(血糖値)
75〜128 71〜148 mg/dL 糖尿病 ストレス 痙攣 振せん(ネコの場合) 摂食後 インスリン分泌膵腫瘍 飢餓 副腎皮質機能低下症 下垂体機能低下症 ショック 非膵腫瘍 激しい活動
BUN
(腎臓/尿素窒素)
9.2〜29.2 17.6〜32.8 mg/dL 腎不全 心疾患 副腎皮質機能低下症 脱水 ショック 尿道閉塞 膀胱破裂 尿道裂傷 慢性肝疾患 飢餓
TCHO
(コレステロール)
111〜312 89〜176 mg/dL 閉塞性胆管疾患 甲状腺機能低下症 副腎皮質機能亢進症 ネフローゼ症候群 原発性リポ蛋白異常症 肝疾患 糖尿病 食欲不振
NH3
(アンモニア)
16〜75 23〜78 μg/dL 肝不全 肝性シャント 胆管閉塞 胆管肝炎 肝硬変
TG
(中性脂肪)
30〜133 17〜104 mg/dL 糖尿病 甲状腺機能低下症 コルチゾール過剰 胆汁うっ滞 急性膵炎 遺伝性(ミニチュアシュナウザー)
CRE
(腎臓)
0.4〜1.4 0.8〜1.8 mg/dL 糸球体濾過機能低下 尿毒症
TP
(総蛋白)
5.0〜7.2 5.7〜7.8 g/dL 重度の脱水 リンパ肉腫 骨髄腫 感染症 慢性炎症 高ガンマグロブリン血症 糸球体疾患 肝疾患 飢餓 吸収不良
ALB
(蛋白)
2.6〜4.0 2.3〜3.5 g/dL 脱水 栄養失調 飢餓 吸収不良性腸炎 慢性肝疾患 糸球体腎炎 
TBIL
(肝胆管等)
0.1〜0.5 0.1〜0.4 mg/dL 肝胆管疾患 溶血性疾患
Ca
(カルシウム)
9.3〜12.1 8.8〜11.9 mg/dL リンパ肉腫 敗血性骨髄炎 骨腫瘍 上皮小体機能亢進症 ビタミンD過剰症 副腎皮質機能低下症 腎不全 高タンパク症 低アルブミン血症 上皮小体機能低下症 甲状腺手術 壊死性膵炎 腎不全 産褥性テタニー エチレングリコール中毒
IP
(リン)
1.9〜5.0 2.6〜6.0 mg/dL 腎不全 上皮小体機能低下症 栄養性二次性 上皮小体機能亢進症 ビタミンD過剰症 甲状腺機能亢進症(ネコの場合) 若齢 溶血 上皮小体機能亢進症 アルカローシス 悪性腫瘍の高カルシウム血症
GGT
(肝胆管/
酵素)
5〜14 1〜10 U/L 胆汁うっ滞性肝疾患 コルチゾール過剰(イヌの場合)
GOT/AST
(肝臓等/酵素)
17〜44 18〜51 U/L 肝細胞壊死 筋肉の壊死 溶血 脂肪血症
GPT/ALT
(肝臓/酵素)
17〜78 22〜84 U/L 肝細胞の障害または壊死
CPK
(骨格筋等)
49〜166 87〜309 U/L 筋肉の外傷、壊死 筋肉内注射 筋炎 中枢神経内の損傷
AMYL
(膵臓/酵素)
200〜1400 200〜1900 U/L 膵臓の炎症 壊死 膵管の閉塞 腎排泄の減少 尿毒症 上部腸管炎症による吸収の増大
Na
(ナトリウム)
141〜152 147〜156 mEq/L 脱水 尿崩症 糖尿病 医原性(ミネラルコルチコイド、浸透圧性利尿薬、ナトリウム含有薬) 下痢 嘔吐 腎疾患 糖尿病 副腎皮質機能低下症
K
(カリウム)
3.8〜5.0 3.4〜4.6 mEq/L 腎不全 尿道閉塞 脱水 副腎皮質機能低下症 アシドーシス 溶血 急性アルカローシス インスリン介在性のグルコースの細胞内取り込み 低体温 嘔吐 下痢 多尿
Cl
(クロール)
102〜117 107〜120 mEq/L 脱水 高塩素血症性代謝性アシドーシス 医原性(塩化物含有化合物の投与) 嘔吐 副腎皮質機能低下症
ALP
(肝胆管等/
酵素)
47〜254 38〜165 U/L 胆汁うっ滞性肝疾患 副腎皮質ホルモン性肝障害 骨の成長 若齢
 
 
   
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     参考図書
1)Jiro J. Kaneko(1989) Clinical Biochemistry Domestic Animals Fourth Academic Press
2)Charles H. Sodikoff(1995) Laboratory Profiles of Small Animal Diseases, A GUide Laboratory Diagnosis 2nd edition Mosby-Year Book など
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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